昔は、「いかに強く激しいショットを打つ」かしか見えていない。
ベストショットが決まった時は素晴らしい快感を感じるが、やはり問題も多い。
そのため、見なければならない多くの事柄に気付かなかった。
それは数少ないベストショットのために時間を浪費する事の愚さだった。
それを遠回りしてようやく気付いた。
気付くきっかけとなったのは、初中級クラスに上がったばかりの事だった。
どれだけのつわものがいるのだろうか・・・と思いながら初回の練習に入った。
ハッキリ言って外れクラスだった。
オバサンや高校位の子が比較的多かった。
マジですか?
だが、当時俺の中で最も習いたかったトップスピンを2レッスン続けて教えるらしかったので、出てみようと思った。
自己流だがスピンには自信があった。
自信満々で乗り込んだ!
結果は、それなりの結果は出ていた。
初回のスピン練習でこんなのをやった。

相手コートのサービスラインよりちょいと奥に大きめの網を置いて、その上を越えてちゃんとコート内に入れるという内容だ!
きちんと擦り上げてやらないと超えてからちゃんと落ちてくれない。
早い速度で打てば打つほど、スピンをキッチリかけないとそのままアウトになってしまう。
速度を低速〜中速程に落としてトップスピンのかかり具合を強く意識した。
だがやはり、ラリーなどになると激しい球ばかり打ちたくてフォームはほとんど意識しないでガツンガツン打っていた。
俺の癖で、早く打とうとするとレベルスイング(フォロースルーが右から左へと真横に平行移動)になってしまう。
その場合、高確率でネットになってしまう。
ラケットの面がかぶさり過ぎてるのにレベルスイングだから当然上方向には飛ばずに真っ直ぐ飛んでいく。
行き着く結果はネットだ。
それとスイングスピードが速過ぎるとよく言われていた。
俺は当時全く腰を使わずに左手(非ラケット側)もフォロースルーの際に微動だにしないため壁になっていた。
つまり、球を押し出すのは右腕だけだった。
それでもそのスピードでベースラインまで突き刺さるのは腕力のおかげだと言っていた。
正面から見ていると、クローズドの構えから右腕しか動かさずに球を打っている。
今思うと、窮屈で奇妙な感じだ。
1回目のレッスンでは、「俺は間違っていない」とずっと思ってイライラしていたと思う。
ダメな理由はスイングスピードが遅いからだと思っていた。
速い球が来ても、こっちがさらに早いスピードでスイングすれば絶対にちゃんと返るはずだと考えていた。
しかし、それは間違っていた。
2回目のレッスンの時に俺のフォームをちゃんと覚えていてくれたコーチに驚いた。
他にも沢山クラス持っている上に生徒も多い。
前回の時のフォームと比較してくれてアドバイスをしてくれる。
コーチとしてはちょっとした事かもしれないが、俺にとっては衝撃的とも言える感動があった。
だからコーチの言う事を忠実に聞いてみようと思うようになれた。
コーチがいう事を第一に考えてひたすら行動に移してみた。
次のレッスンまで「絶対に指摘された事を直す」と強く意識して、毎日イメトレを熱心にするようになった。
目を開けていても球が飛んでくる映像が自然と出るようになった。
俺が得意な球はどういうものか?
俺が苦手な球はどういうものか?
では、なぜそう思うのか?
その改善点を考える事がずっと行われた。
ひたすら、ただひたすらにイメトレの毎日だった。
次のスクールの日が待ち遠しかった。
「一度言われた事は二度とは言わせない」
それが俺の中での鉄則だった。
それ以外の事は考えないようにした。
2回目の時に指摘されたことは、左腕が壁になっている事だった。
全く意識していないので指摘されるまでは気付かなかった。
動かずに壁になっていると腰の回転が生かせないから、フォロースルーの際にラケットを触るように動かすようにといわれた。
俺なりにイメトレをした結果、最も楽だったのはラケットと球のインパクトの少し前に、前に出している左手を空手の正拳突きのように左腕の脇側に素早く引く事だった。
この事により、自動的に右側が前に出るようになる。
そうするとインパクト〜フォロースルーがより楽になったのだ。
3回目の時には、コーチから”左腕の壁”の指摘はなかった。
次に指摘されたのは、腰回転を積極的に使う事だ。
そうする事により、腕の力を使わずに非常に早くて安定した球が打てるようになると言われた。
早速、宿題に取り掛かった!
クローズドで打っていたために、腰の回転を入れると体がねじり切れそうになる。
ムリだ、ムリだ!
テニス仲間に聞いてみると、オープンで打った方が良いと言われた。
ん!
なるほど!!
確かにスムーズに腰回転が利用出来る。
何度もイメトレを重ねるうちに腰回転の動作が非常にスムーズになった。
そのうち、左腕の引き込み動作と腰回転を融合する事によってかつてないスムーズなフォームが完成した!
非常に良かった!
自分でも驚いた。
4回目の時には、フォームの変化を褒められた。
次の課題は、レベルスイングを徹底的にしない事だった。
この宿題はハンパではない。
何しろ、ほんっとに意識していないので直し方に困った。
まず、なんでレベルスイングをしてしまうかを考えた。
相手の球が速いからというのが最も多く、次にこっちも早い速度の球を打とうとしているからだと気付いた。
この意識の修正は難しそうだが、根本的思考の変化が必要だった。
そもそも早い球を早く打つ事自体が間違いだと気付いた。
早く打つのはテイクバックが遅いか打ち出しが遅いかのどちらかだ。
懐に差し込んでくる球に間に合っていないからスイングを真横に振ろうとするんだと気付いた。
実際、普通の球ならちゃんとフォロースルーが上方へ向かっている。
つまり、宿題の対策は球打ちへのタイミングを変えてみる事だった。
・相手が打った瞬間には既にテイクバックを完成させていく事
・速い球の場合は球がバウンドした時に打ち出し動作を始動する事
そしてフォームについて非常に考えた週だった。
まずはフォームだ!
そう、フォーム!!
強く打つのはそれからでも良いと思った。
そして強く意識した事がこれだ。
・腕の力で飛ばすのではなく腰の回転で飛ばす事
・常にリラックスして脱力ギリギリのラインでプレイする事
・平常心を保ち、抜群の球が来ても脈拍を変えずに興奮せずに力まず普通のプレイをする事
・ミスを超極力減らすようにし、ミスするかどうかギリギリなプレイは控える事
・どんな球でもラケットを下方スレスレから出して上方45度に振り上げる事を徹底する事
基本的な内容だが、それが出来れば確実にレベルが上がる。
実際にこのレッスンで著しく向上したと感じた。
まずはミスをしない癖をつける事がレベルアップの最も近道だ!
それにはひたすら忠実なるフォームを試してみることだ。
そこから自分に合ったように修正していけば良い。
それが出来たら、力を抜いてフォーム重視だ!
フォームが綺麗だとわずかな力で思った以上の球が打てるようになる。
普段からミスしなくなるようになった段階で力を入れるようにすればベストショットが通常化される夢のプレイが実現出来る・・・と信じてる。
力むと筋肉が緊張し、通常の動作が行えなくなる。
唯一のメリットがパワーだが、それも非常に狭い範囲に限っての話しだ。
力まずともパワーが出せるのが、「使える筋肉」だ。
数回しか繰り返せない重量で筋トレをしていては身に付ける事は出来ない。
スポーツで必要とされるのは、まずはインナーマッスルだ!
コイツはバランス能力を殺さずに力を発揮出来る優れものだが、一朝一夕で会得出来るものではない。
で、5回目・・・つまり前回だ!
サブコーチとラリーをする機会が珍しく多くて楽しかった。
何度となく激しい打ち合いが続いた。
その最中でストロークによるネットミスは無かった。
ミスはドロップショットした際にネットにかけた位だった。
抜群に成果が出た。
例のメインコーチがベタ褒めしてくれた。
周りの生徒も凄かったと言ってくれた。
力まない能力、平常心を保つ能力、打つ直前にミスをしないで打つイメージを瞬間的に想像出来る能力を全力で意識した。
具現化すると人間は頑張れる。
具現化しないと頑張る方向性が見い出せなく結果的に努力出来ない。
目標点を決めると成長スピードは格段に上がると感じた。
実際、このコーチのレッスンに出るようになり劇的な変化をもたらしたのは事実だ。
「このコーチを驚かせたい」という一心で頑張れた。
久しぶりに1ヶ月位打っていない人と打つ事になった。
相手は、俺の劇的な変化にかなり驚いていた。
「何があったの?」
間違いなく、「見学」という学習方法も一旦を担っていた。
いつまでも同レベルの人間のプレイばかり見ていても殻を破る事は出来ない。
俺が終わった後のAクラスは超ハイレベルだ!
化け物揃いでとても勉強になる。
彼らのプレイを見ることによって、刺激を受けたのは紛れもない事実であり、こうあるべきだという「見える結果」という具現化した目標が一気に自分に対する価値観を変えた。
こんな打ち方じゃダメだ!
こんな相手で苦戦しているようじゃダメだ!
より考えるようになり、よりイメージをするようになった。
このコーチとは、あと1ヶ月と3週間で完了する。
つまり、あとたったの7回だ。
それまでに対等に打ち合え、ミスをしない強打を物にする事が目標だ!
来週の自分のレベルは、今の自分の努力だ。
限りなく頑張ってみたい!